2022 年 35 巻 2 号 p. 119-124
目的:インプラント埋入手術に特化したダイナミックナビゲーションシステムが日本に導入された.従来のガイデッドサージェリーと異なり,本システムによる埋入手術には技術が求められる.本研究は,ダイナミックナビゲーションシステムによるインプラント埋入手術時の埋入精度に,過去のインプラント埋入経験値が影響を及ぼすのかを検討することを目的とした.
方法:対象としてインプラント埋入経験が豊富な群(n=5)と未経験群(n=20)とした.下顎デモ用模型に対してX-Guide® を使用してインプラント埋入手術を行った.埋入後,ダブルスキャン法を用いて,設定位置と実際の埋入位置(起始点,先端の位置,埋入深度,埋入角度)のずれについて検討を行った.
結果:各評価項目に関してインプラント埋入経験の異なる2群間で比較を行ったが,すべての測定項目の誤差は両群間で有意差はなかった.さらに歯科医師としての経験を10年未満(n=15)と10年以上(n=10)とに区分して同様に検討を行ったが,すべての測定項目において両群間に有意差はなかった.術者の年齢別にも同様の比較検討を行ったが,4項目ともにいずれの群においても誤差の値に有意差はなかった.
結論:ダイナミックナビゲーションシステムの埋入精度は,年齢,歯科医師歴,インプラント埋入経験値のいずれにも相関しなかった.よって本システムを使用する際には,インプラントの経験にかかわらず一定の訓練が必要であることが示唆された.