2022 年 35 巻 2 号 p. 93-98
人工歯根として使用するインプラント体,アバットメントおよび既製の上部構造は,本邦において医療機器として取り扱われ,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」の下,その製造販売行為が規制される.一方,修復物や補綴装置等の最終上部構造は,歯科技工物として取り扱われ,その作成は「歯科技工士法」において規制されるが,その場合は作成に用いる歯科技工物の材料および加工器具等が医療機器としての規制対象となる.2つの法律は,異なるものを規制対象としているが,インプラント治療においては両者が接続等されて使用されること,また,医療機器であるアバットメント等も患者に応じた加工がされることもあることから,医療機器または歯科技工物についての混同が懸念される.適切な医療機器の使用についての理解のために,改めて本邦の薬事規制,特にインプラント治療に関係する医療機器の規制について説明する.