2023 年 36 巻 4 号 p. 257-261
関節リウマチ(RA)は続発性骨粗鬆症の代表的な原因疾患であり,骨吸収抑制薬がよく用いられている.一方で,骨吸収抑制薬などの薬剤に関連した薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は,頻度は低いが重大な合併症であり,本邦からもポジションペーパーが発刊されている.MRONJ発症の大きな要因は骨吸収抑制薬の投与に加え,侵襲的歯科治療による局所感染と考えられている.RA患者は通常の骨粗鬆症患者と比較してMRONJの発症リスクが高く,かつ免疫抑制薬やグルココルチコイドの投与によって感染に対して脆弱になっており,治癒困難になるリスクがより高い.また,骨吸収抑制薬の休薬によるMRONJ発症予防効果は証明されておらず,RAにおけるMRONJ対策は口腔内衛生の改善や骨吸収薬投与前の歯科治療を徹底することが最も重要である.RAにおけるMRONJの発症率を低下させ,患者の予後を改善するために,医師と歯科医師との連携が非常に重要である.