日本口腔インプラント学会誌
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症例報告
インプラント追加埋入によりリカバリー治療を行った長期経過症例
中野 遼太郎潮 美沙子高村 仁嘉安岡 はるか林 祥太小田 由香里平野 友基小笠原 龍一法月 良江古谷 義隆佐々木 穂高伊藤 太一
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2024 年 37 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

現在,インプラントと天然歯の共存が増加し,インプラント治療後に残存歯を抜歯し,追加でインプラント治療を行う症例が存在するが,他院で埋入されたインプラントに対する評価項目が示されていない.本文献では,追加インプラント治療を行い,長期にわたる経過観察を行った症例を報告し,他院埋入インプラントに対する評価項目を提示する.

2002年に他院で施術されたインプラント治療は可撤性床義歯だったが,患者は固定性補綴装置を希望し,当科に来院した.既存の15部,25部のインプラントに近接する部位を含めた新たな欠損補綴の必要性が生じていた.上顎右側では16部にインプラントを埋入し,15部のインプラントと上部構造で連結し,近心カンチレバーの上部構造を作製した.上顎左側では23部,24部にインプラントを埋入し,25部のインプラントと連結した上部構造を作製した.

本症例では,他院埋入インプラントを治療計画に含めるための評価項目を提示した:①インプラント体,②インプラント周囲組織,③口腔衛生の状態,④材料の問題,⑤インプラント埋入位置,⑥外科的リスク,⑦審美的リスク,⑧患者への説明.

また,慎重な治療計画にもかかわらず,治療後,インプラントの追加埋入(21部)という状況に遭遇したが,その後の合併症は認められず,長期経過観察の結果としてこの治療が適切であったことが示された.

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