日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
連結機構の異なるチタン製インプラントの疲労強度に関する研究
大森 桂二加倉 加恵谷口 祐介柳 束松本 彩子城戸 寛史
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2024 年 37 巻 2 号 p. 155-163

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抄録

目的:市販のインプラント体を使用して,3種類の異なるインプラント-アバットメント連結体に繰り返し荷重試験を施行し,疲労強度を評価した.

方法:被験試料の連結機構はエクスターナルジョイント(EXT),インターナルジョイント(INT),テーパージョイント(TAPER)とした.また,コントロールとして,商用純チタン(ASTM Grade 4)製の2種類のワンピースインプラントを準備した.一つは充実型(Cont.)で,もう一つは中心軸部にφ2.24 mmの中空構造を設定したものとした(Cont.H).

30°傾斜ブロックに装着した被験試料を,疲労試験機に設置し,繰り返し荷重を10 Hzで与え,荷重サイクルごとの荷重と被験試料の変形量を測定した.繰り返し荷重は被験試料の破損が起こるまで,または500万サイクルを達成するまで続けた.被験試料が破損した場合は,別の被験試料を使用して,約100 Nmm小さい曲げモーメントで再試験を行った.3本の被験試料が500万サイクルを達成した場合,その荷重値を最大耐久荷重とした.

結果:繰り返し荷重試験の結果,Cont.,Cont.H,EXT,INTおよびTAPERの最大耐久荷重は,それぞれ164,55,200,237,291 Nであった.また,そのときの曲げモーメントの概算値はそれぞれ,900,300,1,100,1,300,1,600 Nmmであった.

結論:繰り返し荷重による疲労試験の結果,EXTと比較してINTは約18%,TAPERは約45%疲労強度が強かった.この結果はすべてのインプラントシステムに当てはまるわけではないが,疲労破折の予防の観点からインプラントシステムの選択において連結機構の種類が重要な因子であることが示唆された.

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