目的:本研究は,インプラントの接合様式および傾斜角度が及ぼす曲げ荷重とたわみ量への影響について検討することを目的に行った.
材料および方法:セメント合着アバットメント(TP),インターナル・テーパージョイントでアバットメントがストレート型(IA)および5°のテーパー型(IB)の各インプラントをJIS4種チタン材を用い製作した.
曲げ荷重およびたわみ量は傾斜10°,20°および30°にて万能試験機を用い,各5個について測定を行った.各測定値は一元配置分散分析とTukeyの多重比較検定(危険率:5%)を用いた.測定後,CTにより観察を行った.
結果:傾斜10°の曲げ荷重(N)は,TPが約5,060,IBは約3,850,IAが約3,030であり,各試験片間に有意差(p<0.001)が認められた.傾斜20°ではTPが約1,640,IAおよびIBは約1,420であり,TPとIAの間およびTPとIBの間に有意差(p<0.001)が認められた.傾斜30°ではTPが約910,IAが約870,IBが約840であり,TPとIAの間およびTPとIBの間に有意差(p<0.001)が認められ,IAとIBの間に有意差(p=0.008)が認められた.たわみ量(mm)については傾斜10°で0.49~0.68であり,TPとIAの間およびIAとIBの間で有意差(p<0.001)が認められた.傾斜20°では0.56~0.61であり有意差が認められず,傾斜30°では0.70~0.84であり,TPとIAの間(p=0.004)およびTPとIBの間で有意差(p<0.001)が認められた.カラー部の隙間は傾斜20°と30°で観察された.
結論:接合様式,傾斜角度は曲げ荷重,たわみ量と隙間の形成に影響を及ぼすことが明らかとなった.
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