日本口腔インプラント学会誌
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ラット切歯歯周組織とジルコニアセラミック界面におけるセメント質形成に関する電顕的研究
ミサナ リリアナ竹下 信義野島 鉄人藤井 宰大関 豊寿永井 教之
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1991 年 4 巻 2 号 p. 176-182

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抄録

 ジルコニアセラミック(ZC)をラット下顎切歯のエナメル質側歯根膜に埋入してその組織反応を観察し,エナメル質側歯根膜を構成する間葉系細胞の生物学的特徴を検討した.ZC埋入6,8週後,ZC-エナメル質側歯根膜界面に無細胞性セメント質様層が認められ,セメント質様層直下には立方形のセメント芽細胞様細胞が配列していた.電顕的にセメント質様層は非線維性セメント質と線維性セメント質で構成されていた.また,セメント芽細胞はゴルジ装置,少量の粗面小胞体,ミトコンドリアなどを有し,線維性セメント質に垂直に侵入したシャーピー線維束に密接していた.ZC埋入後16,32週間では無細胞性セメント質の厚さが増加し,シャーピー線維間にセメント芽細胞が規則的に配列していた.本研究結果から,ラット切歯エナメル質側歯根膜を構成する間葉系細胞はZCなどの埋入による組織治癒過程でセメント芽細胞に分化し,無細胞性セメント質を形成することが示された.

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© 1991 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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