口腔顎顔面外傷 : 日本口腔顎顔面外傷学会誌
Online ISSN : 2434-3366
Print ISSN : 1347-9903
総説
外傷後の顎関節強直症に対する最新治療
―顎関節人工関節全置換術の実際―
儀武 啓幸
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2025 年 24 巻 1 号 p. 19-26

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抄録
顎顔面外傷は交通事故や転倒を契機とすることが多く,四肢の運動機能の低下が見られる高齢者においてリスクが高いと考えられる。オトガイ部や下顎の強打による下顎骨骨折では,歯槽骨骨折や歯の脱臼,破折や下顎骨体部の骨折以外にも,介達骨折による関節突起骨折(下顎頸部骨折,下顎頭骨折)や顎関節の損傷にも留意する必要がある。下顎頸部骨折や下顎頭骨折では下顎頭を含む小骨片は外側翼突筋により牽引され前下内方へ転位した結果下顎の患側偏位による著しい咬合不良を呈し,両側性の場合は前歯部開咬を来す。適切な対応が行われないと顎位の偏位による咀嚼障害や骨性顎関節強直症による重度の開口障害など日常生活に支障を来たす結果となる。骨性顎関節硬直症に対して顎関節開放授動術が行われることが多いが,近年では我が国においても人工顎関節の使用が認可されたことで治療の選択肢が広がった。本稿では下顎頸部骨折後の顎関節強直症に対する顎関節人工関節全置換術についてその概要を解説し症例を供覧する。
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