日本門脈圧亢進症学会雑誌
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臨床研究
食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法後の再発例の傾向
—治療の標準化に向けての一考察—
阿部 航國分 茂博山形 寿文山科 俊平内山 明大久保 裕直宮崎 招久渡辺 純夫
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2010 年 16 巻 3 号 p. 110-114

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抄録
順天堂大学附属練馬病院開院後の2006年4月から2009年3月までに予防的食道静脈瘤硬化療法(Endoscopic Injection Sclerotherapy:EIS) を施行した36症例に対してその背景,および再発例の傾向について検討した.再発例では非再発例に比べ肝予備能が悪く,胃噴門部静脈瘤合併の比率も高い傾向にあり側副血行路の圧や血流量がより増加している可能性が考えられた.またMD-CTでの検討から傍食道静脈の発達が目立たない症例で,食道静脈瘤が再発しやすい傾向にあり,治療後に傍食道静脈による血流のドレナージ効果が得られにくいことなどが一因として推察された.再発例の全6例中4例が退院後早期に飲酒再開したアルコール性肝硬変の症例であり,退院後の禁酒の継続が重要であることが改めて示唆された.
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© 2010 日本門脈圧亢進症学会
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