日本口腔腫瘍学会誌
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総説
浸潤様式4D型口腔扁平上皮癌の生物学的性状
―4C型からの移行のない独立した浸潤形態―
山本 悦秀川尻 秀一加藤 広禄吉澤 邦夫野口 夏代北原 寛子
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2009 年 21 巻 3 号 p. 131-169

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抄録
頭頸部扁平上皮癌における組織学的浸潤様式分類は1973年にJakobssonらによって初めて提案された。その4型を呈する口腔扁平上皮癌は1983年,我々によって索状胞巣を形成して浸潤する4C型(cord-like type)と細胞単位でび漫性に浸潤する4D型(diffuse, widespread type)に改定・細分類された。以来,今日まで,浸潤様式に関する臨床病理学的,免疫組織化学的ならびに実験的研究が行われてきた。その結果,浸潤様式4C型と比較しての4D型特有の性状は,1)最も不良な治療成績,2)細胞単位の浸潤組織像に相応する細胞接着分子の消失,3)組織学的にスキルス胃癌に似た強い線維形成,4)in vitroでの強い運動能,5)コラーゲンゲルを用いたin vitro浸潤モデルにおいて,線維芽細胞を含まないゲルでも観察される特有のびまん浸潤像,6)実験誘発舌癌では4C型までの浸潤像形成に留まり,4D型は形成されなかったこと,そして,7)正所性移植によるin vivo浸潤モデルで3,4C型における固有の浸潤性と対照的な非浸潤性等,であった。以上の結果より,4D型は他のどの型とも独立していると結論付けられ,従って,この浸潤様式細分類は妥当であることが立証された。最後に,4D型症例における臨床像と治療戦略についても言及した。
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© 2009 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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