抄録
口腔悪性腫瘍術後の嚥下障害に対する機能評価は,各施設における評価基準を基に行われているのみである。その理由は,嚥下障害の診断分類とそれに対応した基準となるリハビリテーション法が確立されていないからである。
今回,自験例の口腔悪性腫瘍術後患者176例の中から,術後嚥下障害が比較的長期に後遺した40例について,レトロスペクティブにその診断分類,評価法,リハビリテーションについて検討した。
その結果,嚥下障害診断の分類については,口腔腫瘍のための新分類作成が必要と考えられ,評価法においては,間接訓練を要する症例に関しては,VF評価が必要であることが示唆された。また,リハビリテーション法に関しては,診断分類に対応した方法を選択することで,標準化が図れることが予想された。