日本口腔腫瘍学会誌
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症例
手術シミュレーションに基づく腫瘍分割摘出により顎骨を保存し得た下顎骨骨形成線維腫の1例
金塚 文子豊島 貴彦鈴木 麻衣子河本 清司新谷 悟
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2010 年 22 巻 2 号 p. 75-80

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抄録
骨形成線維腫はセメント質あるいは骨様の硬組織形成を伴う線維性結合組織の腫瘍性増殖物であり,画像所見においては境界明瞭な透過像の中に大小様々な不透過物が散在する。
今回,われわれは40歳代女性の左側下顎骨骨体部に発症した骨形成線維腫に対し,顎骨の温存を目的に腫瘍分割による摘出術を施行し,良好な結果を得たので報告する。
症例は左側下顎骨骨形成線維腫に対して,他病院にて下顎骨区域切除と腸骨移植による即時再建手術を提示され,審美障害の少ない治療方法を希望して当科を紹介来院した。CT撮影データより,三次元模型を作製して手術シミュレーションを行い,その結果から下顎骨の保存が可能であることを判断し,口腔外より腫瘍を分割して摘出を行った。術後,病的骨折や再発もなく,経過良好である。また,低侵襲の治療を行うことで術前から懸念された審美障害や知覚鈍麻を回避することができた。
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© 2010 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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