日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム1:「化学放射線療法後の救済手術」
口腔癌における化学・放射線療法後の再発・二次再建に関する外科療法の検討
山下 善弘古木 良彦大矢 亮一山本 哲彰山内 健介宮本 郁也黒川 英雄高橋 哲
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2010 年 22 巻 3 号 p. 82-88

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抄録
当科にて2001年1月から2009年4月の間に加療を行った口腔癌患者215例のうち根治的化学放射線療法(CCRT)にて加療を行った症例は21例(9.8%)であった。その内腫瘍の残存や再発を認めなかった症例は12例(57.1%)であり,一方CCRT後に再発あるいは再々発を認めた症例は9例(42.9%)であり,その中で外科的切除および遊離組織移植などによる再建を行った症例は5例(23.8%,救済手術群)であった。また,放射線化学療法および切除後に二次再建が必要となり遊離組織移植による二次再建を行った症例は7例(二次再建群)であった。本報告ではこの救済手術群と二次再建群について術後の局所的および全身的合併症,遊離組織移植の成績等について検討した。救済手術群の治療成績では1例に局所再発を認め再切除を行い経過良好であり全例生存していた。また,手術合併症に関しては4例(80.0%)に何らかの合併症が認められた。救済手術群での再建成績では2例(40.0%)が不良であった。化学放射線後の外科療法での再建方法は二次再建群も含めて遊離皮弁を第一選択としているがこの場合の問題点として頸部での吻合血管の有無や頸部への照射量が問題と考えられる。また,顎骨の切除や周囲軟組織の合併切除が大きい場合などでは血流の良い組織で十分充填することや縫合不全に注意が必要と思われる。
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© 2010 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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