日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
原著
癌化学療法における口内炎に対するG-CSF(グラン®)含嗽製剤の有用性に関する検討
―Preliminary study―
渡貫 圭光藤 健司光永 幸代君塚 幸子岩井 俊憲小栗 千里小泉 敏之廣田 誠大村 進藤内 祝
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 23 巻 4 号 p. 139-145

詳細
抄録
口内炎は癌化学療法による有害事象のひとつであるが,本邦では現在有効な予防法や治療法は確立されていない。欧米では癌化学療法による口内炎に対してG-CSF製剤による含嗽が応用されている。そこでわれわれはG-CSF含嗽剤を作製し,癌化学療法による口内炎に応用したところ,本治療にて口内炎治療に良好な結果が出たので報告する。対象は口腔癌を含む固形癌あるいは白血病と診断され化学療法中に口内炎が出現した6名で,口内炎がgrade 3あるいは4まで悪化した時点で,フィルグラスチム製剤による含嗽治療を1日4回1回75μgで5日間行い,口内炎改善度を評価した。口内炎は著しく良化し,疼痛や摂食も改善した。G-CSF含嗽剤は口内炎の治療に,ひいてはQOLの改善に非常に有用であった。
著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top