抄録
対象は1998年1月から2007年12月に東京医科歯科大学歯学部附属病院顎顔面外科を受診し,病理学的に扁平上皮癌と診断した口腔癌479例で,このうち重複癌は60例(12.5%)に認められた。男女比は4:1で男性に高頻度で発生した。発生部位は60例68部位中,30例33部位が消化管系統であった。口腔癌先発重複癌は他臓器先発重複癌に比べ,第2癌発生までの期間が有意に短かった。累積生存率は,重複癌群が非重複癌群に比べ有意に低かった。重複癌が発生する危険因子は,年齢,性別,発生部位および喫煙に関し有意差が認められた。