日本口腔腫瘍学会誌
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原著
後期高齢者口腔扁平上皮癌症例の臨床的検討
吉田 祥子岸本 晃治伊原木 聰一郎銅前 昇平吉岡 徳枝志茂 剛西山 明慶目瀬 浩佐々木 朗
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2012 年 24 巻 3 号 p. 103-111

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抄録

我が国では高齢化社会が進んでおり,それとともに高齢口腔癌患者を治療する機会の増加が予想される。本研究では,2000年から2008年に当科を受診した後期高齢者口腔扁平上皮癌症例64例(男性23例,女性41例)について,前期高齢者60例(男性32例,女性28例)および若壮年者63例(男性46例,女性17例)と比較検討した。
後期高齢者は前期高齢者や若壮年者と比較してPerformance Status (PS) grade 0・1の症例の割合が有意に低かった。後期高齢者は,根治的治療45例(70.3%),姑息的治療9例(14.1%),無治療10例(15.6%)であった。後期高齢者は前期高齢者と比較して根治的治療を選択している割合が低い傾向を示した。また,根治的治療を選択した症例の5年疾患特異的累積生存率は後期高齢者81.3%,前期高齢者88.6%,若壮年者80.9%で後期高齢者は前期高齢者と比較して低い傾向を示した。無治療症例は,その後の経過が追えておらず,今後,対策が必要と考えられた。

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© 2012 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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