象牙質形成性幻影細胞腫(Dentinogenic ghost cell tumor:以下DGCT)は以前には石灰化歯原性嚢胞の充実型と呼ばれていたが,新WHO分類で嚢胞状の形態を示す石灰化嚢胞性歯原性腫瘍(calcifying cystic odontogenic tumor:以下CCOT)と充実性に増殖するDGCTの2型に分けられた。
今回右側上顎に発症したDGCTの1例を経験した。
組織学的な特徴として上皮組織内に多数の幻影細胞の出現や石灰化物を認め,象牙質の形成を特徴とするものはDGCTとされるため,組織生検を行う場合には画像所見で石灰化物が認められた場合はこれを含むように組織生検を行う必要がある。
DGCTは外科的切除が一般的であるが再発を繰り返しやすいとされており,今回の症例でも摘出後に再発が認められた。摘出に際しては切除範囲を考慮し十分な安全域を確保することが重要であり,場合により顎骨離断等の処置が必要であることが考えられた。
腫瘍切除後の経過観察は重要であり,CTやMRI等による画像検査が有効であった。
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