2015 年 27 巻 3 号 p. 35-40
下顎再建を標準化するに向けて数々の問題点がある。今回われわれは下顎再建の中でも手術因子を標準化することに関してのみ焦点をあて当院での症例を基に検討した。当院で2006年から2013年の間に,下顎切除後一期的に再建を行った73例を対象としretrospectiveに調査した。検討項目は手術時間,出血量,周術期合併症である。骨再建は35例で軟部組織再建は38例であった。手術時間に関しては双方に大きな差は認めなかった。出血量に関してはやや骨再建例が多かった。周術期合併症は骨再建が20%,軟部組織再建は16%で双方に有意な差は認めなかった。結果より年齢や併存疾患によらず一期的下顎再建は骨再建で統一しても問題ないと思われた。他分野治療でコンセンサスが確立されつつある時代に,下顎再建分野でも標準化という難題を克服する必要があると考える。