日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム1:「口腔癌検診」
神奈川県における口腔がん検診システム(総説)
石川 好美太田 嘉英小早川 元博石井 宏昭
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2016 年 28 巻 4 号 p. 191-196

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抄録

2006年に日本口腔外科学会神奈川県医療連携部会と神奈川県歯科医師会との共同事業の一つとして口腔がんの集団検診を開始した。神奈川県の口腔がん検診事業は,県歯科医師会会員に対する研修会と口腔外科専門医と認定歯科医師によるダブルチェックで行う集団検診とからなる。
検診事業の概要と集団検診の結果は以下の通りである。
1)9年間で1,302人の歯科医師が集団検診協力医に認定され,神奈川県歯科医師会員の35%にあたる。
2)9年間で158回の口腔がん集団検診が実施された。
3)9年間で7,199人(男性2,150人,女性5,049人)が集団検診を受け,平均年齢は64.7歳であった。
4)全体の81.4%が異常なしで,要経過観察が11.8%,要精密検査が6.5%であった。
5)9例が口腔がんと診断されて,そのうち5例が舌で口底,下顎,口蓋,軟口蓋が各1例であった。
これらのデータを分析し有効に活用することが重要である。近い将来には,いくつかの地域では集団検診と個別検診の両方を実施したいと考えている。

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© 2016 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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