日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム1:「口腔癌検診」
江戸川区歯科医師会における口腔がん検診の歩み(総説)
齋藤 祐一石川 一郎市川 裕文田部 小百合田中 宏和児玉 健伊能 智明常葉 信也橋本 みゆき福田 善則野田 隆二上田 雄平根本 秀樹石川 祥一
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2016 年 28 巻 4 号 p. 182-190

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抄録
2014年に創立40周年を迎えた江戸川区歯科医師会は,江戸川区のスローガンである「元気なときこそ がん検診」の行政の協力のもと2011年より口腔がん集団検診を開始した。2013年には国内初の「口腔がん検診ナビシステム」を東京歯科大学と共同で導入した。2015年からは口腔がん個別検診を開始した。今回は江戸川区歯科医師会が行ってきた口腔がん検診の実績および「口腔がん検診ナビシステム」について検討を行ったので報告する。
検診対象者は,集団検診においては,江戸川区歯科医師会に直接電話にて希望者を公募し予約制とした。個別検診に於いては,40歳以上の江戸川区民とし,希望者に受診券を送付し協力医診療所にて検診を行った。
結果は,2011年から2015年までの5年間の集団検診における総受診者数は886名で,このうち口腔がんが2例(0.23%)発見された。2015年からの個別検診における総受診者数は1,416名で,このうち口腔がんが2名(0.14%)発見された。
一般に口腔がん集団検診におけるがん発見率の0.1%と比較し,江戸川区の口腔がん検診は他地域より明らかに高率な口腔がん発見率が得られ,検診が早期発見に寄与することが期待された。さらに「口腔がん検診ナビシステム」は一般開業歯科医院から個別検診において寄せられた質問に東京歯科大学がコントロールセンターとして回答するものである。このシステムはわれわれ一般開業歯科医師がチェアサイドで専門医の意見が聞ける点が特徴である。これらわれわれの取り組みが,他の地方行政団体においても口腔がん検診を行うきっかけとなり,1人でも多くの口腔がん患者を早期発見し救う一助になればと考える。
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© 2016 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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