日本口腔腫瘍学会誌
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原著
当科の初期舌扁平上皮癌患者における予後因子の検討
森川 貴迪小坂井 絢子別所 央城音成 実佳井本 研一和光 衛野村 武史髙野 伸夫柴原 孝彦
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2019 年 31 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

初期舌扁平上皮癌に対する予後因子について検討が行われている。深達度は後発頸部リンパ節転移に対する予後因子として重要である。しかし,この深達度は術後の病理標本の結果に基づいており,術前より予測することは困難である。また,画像所見と病理標本との比較についての報告は少ない。本研究では初期舌扁平上皮癌の予後因子,特に深達度に着目し,画像所見と予後との関連性について明らかにすることを目的とした。  2000年4月から2016年3月までの16年間に当科で外科的切除を行った初期舌扁平上皮癌患者一次症例213例を対象とした。  性別は男性114例,女性99例。平均年齢60.4歳であった。病期はⅠ期が129例,Ⅱ期が84例であった。中央観察期間は66.2か月であった。病理組織学的深達度は平均3.3mm,蔟出は平均2.9個であった。Receiver Operating Characteristic curve解析の結果,病理組織学的深達度,蔟出の閾値は5mm,5個と設定した。  5年全生存率,無病生存率,局所制御率,頸部制御率は93.8%,79.7%,91.5%,86.4%であった。頸部制御率についての単変量解析では,病期,筋層浸潤,病理組織学的深達度,蔟出が有意な因子であった。さらに多変量解析では,病理組織学的深達度ならびに蔟出が有意な因子であった。  画像評価として,CT,MR,USの描出能は10.7%,51.3%,97.5%であった。各画像検査における深達度の検討では,US,MRと病理標本においては,有意な相関関係にあった。  深達度,蔟出は初期舌扁平上皮癌の予後因子として有用であり,画像検査としてはUSが最も有用であることが示唆された。

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© 2019 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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