日本口腔腫瘍学会誌
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原著
Inflammation based prognostic scoreを用いた口腔癌の予後因子の検討
久保田 耕世伊藤 良平成田 紀彦中川 祥田中 祐介福田 はるか小林 恒
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2020 年 32 巻 1 号 p. 9-14

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抄録
近年,好中球/リンパ球比(NLR),血小板/リンパ球比(PLR),リンパ球/単球比(LMR),予後推定栄養指数(PNI)などのinflammation based prognostic score(IBPS)の有用性が多くの癌腫の予後予測因子として報告されている。今回われわれは当科で2008 年から2016年に手術加療した口腔扁平上皮癌患者101例について,inflammation based prognostic scoreの再発・転移に与える影響について検討を行った。術前ならびに再発・転移時の末梢血を用いてIBPSを測定した。術前至適カットオフ値はNLR 2.65,LMR 5.38,PLR 154.32,PNI は50.70となった。無病生存率に対するlogrank検定を施行したところ,術前NLR高値群で統計学的に有意な低下を認めた。また,COX比例ハザードモデルを用いて検討したところ,単変量解析でNLRと再建の有無に有意差が認められ,また,多変量解析を施行したところ,NLRが独立した因子と認められた。また再発・転移症例について検討し,術前と再発・転移時を比較したところ,PNIの優位な低下が認められた。口腔癌手術症例において,術前の再発・転移の予測因子としてNLR,術後経過観察中の再発・転移の予測因子としてPNI が重要であることが示唆された。
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© 2020 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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