日本口腔腫瘍学会誌
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原著
口腔癌術後患者に対する摂食嚥下機能評価におけるMASA-Cの有用性
本田 健太郎酒井 克彦齋藤 寛一井口 達也石井 悠佳里中澤 和真大金 覚河地 誉野村 武史
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2020 年 32 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
摂食嚥下障害に対する評価として確立された方法は散見されるが,口腔癌術後の摂食嚥下機能障害に特化した評価法はわずかである。そのため,各施設によって評価方法が異なることで,治療によって生じた症状を正確に評価に反映できていない可能性がある。The Mann Assess-ment of Swallowing Ability-Cancer(MASA-C)は放射線単独療法もしくは放射線併用化学療法を施行されている頭頸部癌患者の摂食嚥下機能のスクリーニング検査である。24項目から構成され,摂食嚥下機能障害の重症度と誤嚥のリスクを評価することが可能である。本研究では口腔癌術後患者を対象とする摂食嚥下機能のスクリーニング検査としてのMASA-Cの有用性を検討することを目的とし,既存の摂食嚥下機能評価法として確立されている嚥下造影検査(VF)およびFunctional Oral Intake Scale (FOIS)とMASA-Cの評価の比較を行った。口腔癌患者の誤嚥を検出するための最適なMASA-Cカットオフ値は,150.0ポイントであり,感度0.89,特異度0.80,AUC 0.85を示した。また,FOISとMASA-Cでは相関係数0.491で有意差0.007であり,有意な相関関係を認めた。
MASA-Cは,口腔癌手術後の摂食嚥下機能障害のスクリーニング検査として有用である可能性が示唆された。
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© 2020 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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