日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
症例報告
硬口蓋明細胞癌の1例
秋森 俊行宮脇 昭彦志渡澤 和佳上田 大佑髙田 まゆこ大矢 亮一
著者情報
キーワード: 明細胞癌, 硬口蓋, 瘻孔
ジャーナル フリー

2021 年 33 巻 1 号 p. 11-17

詳細
抄録

今回われわれは硬口蓋部に発生した明細胞癌の1例を経験したので報告する。
患者は67歳男性で右側硬口蓋部の腫瘤を主訴に受診した。腫瘤は粘膜下にあり,大きさは20×15mm大で中央に潰瘍を認めた。生検の病理診断は明細胞癌であった。頸部リンパ節に転移は認めなかった。全身麻酔下に上顎部分切除術および頰脂肪体移植を施行した。術後に鼻口腔瘻が残存した。
上顎義歯では瘻孔を封鎖することはできず,開鼻声で飲水は困難であった。術後2年で残存した鼻口腔瘻孔に対して舌弁による閉鎖術を施行した。閉鎖後は開鼻声が改善し,飲水も問題なかった。術後60か月経過するも,再発や転移を認めず,発音・飲水に支障はない。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top