抄録
咽頭および食道の表在性病変は,内視鏡診断および低侵襲治療の進歩により,早期発見・治療の対象として重要性が高まっている。一方で,両臓器は解剖学的構造や浸潤様式が異なり,「表在性病変」の定義や診断の視点には差異が存在する。本総説では,咽頭では上皮および上皮下層にとどまる病変,食道では粘膜および粘膜下層に限局する病変を表在性病変として整理し,両者を「粘膜病変」という共通の概念から捉え直す。さらに,存在診断,質的診断,深達度診断という一連の内視鏡的判断の流れを軸に,治療選択に至る思考過程を概説する。日常診療において内視鏡医がどのような視線と判断で粘膜病変に向き合うべきかを,咽頭・食道に共通する観点から提示することを目的とした。