日本口腔腫瘍学会誌
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Excisional biopsyにおける術中迅速凍結切片診断の検討
楠川 仁悟末藤 祐一亀山 忠光
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1999 年 11 巻 2 号 p. 83-89

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抄録
悪性度や切除断端の評価における術中迅速凍結切片診断の有用性を検討するために, 口腔癌に対しexcisional biopsyを行い得られた71例の凍結標本について検討した。
上皮内癌5例および浸潤扁平上皮癌66例での, 凍結標本と永久標本との比較において, 2例で偽陰性がみられた。その結果, 術中迅速診断の正診率は97.2%であった。組織学的分化度および癌周囲の上皮性異形成の判定では, それぞれ78.7%と80.0%の正診率が得られた。一方, 浸潤様式の判定では, 凍結標本と永久標本での正診率は62.3%であった。浸潤様式がびまん性の場合は, 凍結標本では永久標本と比較して低グレードに診断される可能性があることを注意すべきである。
局所再発は, 永久標本での切除断端の状態と関連がみられたが, 凍結標本との関連はみられなかった。しかしながら, 術中迅速診断は陰性断端をえるために有用である。
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