抄録
頸部郭清術を施行した口腔扁平上皮癌88症例の頸部リンパ節について, 病理組織所見と造影CT所見を比較し, 次の結果を得た。
検索したリンパ節1634個中, 病理組織学的に92個のリンパ節転移が認められた。
Rim enhanceされたリンパ節中央部のlow density部は壊死または角化した転移巣と考えられ, 転移リンパ節では腫瘍実質よりも残存したリンパ組織が強くenhanceされる傾向にあった。このように, 転移リンパ節に観察されるenhancementは, 腫瘍原発部位にみられるものとは異なる様式であると考えられた。また, リンパ節内転移の状態によっては, 転移リンパ節でもenhancementを欠く場合があった。さらに, 正常なリンパ節形態や反応性腫大, 他病変の存在によって, 転移リンパ節に類似したCT所見を呈した場合があった。
今回検討した5mm幅のCTのみでの画像診断には限界があり, 診断精度の向上には角化, 壊死といった転移巣の特徴を把握することが必要と思われた。