日本口腔腫瘍学会誌
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口腔・口峡咽頭癌の所属リンパ節転移に関する臨床的検討
―両側性転移と片側性転移との対比を中心として―
小谷 勇片岡 聡音田 貢領家 和男植田 栄作山本 哲也尾崎 登喜雄
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2001 年 13 巻 2 号 p. 43-49

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抄録
口腔扁平上皮癌の両側性リンパ節転移の詳細については未だ確かなものがない。このたびわれわれは, 口腔, 口峡咽頭扁平上皮癌からの両側性リンパ節転移の発生機序について検討を行った。口腔, 口峡咽頭扁平上皮癌583例のうち, 片側性リンパ節転移は168例に, 両側性リンパ節転移は27例に認められた。片側性リンパ節転移は, 口底癌 (44.2%) と口峡咽頭癌 (35.3%) にもっとも多くみられた。一方, 両側性転移は硬口蓋癌において27.3%, 口峡咽頭癌で11.8%, 上顎歯肉癌で11.5%に認められた。原発巣が正中部を含むものは, 含まないものと比べ, 両側性転移の頻度は高かった (p<0.05) 。片側性転移, 両側性転移はともにT stageの進行につれて統計学的に有意に増加した。さらに, 腫瘍細胞の浸潤様式におけるび漫性浸潤と片側性および両側性リンパ節転移との間に関連がみられた。原発巣が正中部を含まず, 最終的に両側性リンパ節転移がみられた17例のうち, 2例は患側の頸部郭清術を行い, 原発巣再発後に反対側リンパ節転移を生じた。すなわち, び漫性浸潤を示す正中部を含む硬口蓋癌, 口峡咽頭癌, 上顎歯肉癌は両側性リンパ節転移をきたす傾向がある事が示唆された。さらに, 患側のリンパ流が郭清術によって遮断されることにより, 対側のリンパ節転移の生じる可能性が考えられた。
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