日本口腔腫瘍学会誌
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顎骨中心性に生じた乳児型線維肉腫の1例
横田 光正宮手 浩樹石川 義人松浦 政彦降旗 球司工藤 啓吾三浦 廣行武田 泰典
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2001 年 13 巻 4 号 p. 189-193

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抄録
乳児型線維肉腫は非常に稀で全小児腫瘍の約0.4%の発生率といわれ, その大部分が四肢の軟組織に発生する。
口腔領域では軟部組織に生じた3例と下顎骨内に生じた1例が報告されている。乳児型線維肉腫は成人型より増殖が急速で細胞成分に富み, 速やかに骨組織を吸収するが転移は少ないといわれている (7.3%-8.3%) 。治療は手術療法が第一選択とされ, 広範な切除により局所再発が少ない。5年生存率は発現時期で異なるが, 50-85%とされている。われわれは, 9歳女児の上顎両側埋伏犬歯を含む腫瘍性病変に対しInterleukin-2 (IL-2, 70万国内標準単位/日) を投与後・全身麻酔下に上顎骨部分切除術を施行し, 創部の治癒後, 欠損部に顎義歯を装着し, 咬合と顔貌の改善を試みた。5年間, 再発や転移を認めず経過良好である。
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