日本口腔腫瘍学会誌
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上唇粘膜に発生した腺房細胞癌の1例と文献的考察
坂下 英明宮田 勝宮本 日出車谷 宏内海 順夫
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1991 年 3 巻 2 号 p. 256-266

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抄録

腺房細胞癌は唾液腺に発生するまれな腫瘍であり, 全耳下腺腫瘍の2~4%を占める。
上唇粘膜に発生した腺房細胞癌の1例を報告し, 文献的考察を行った。
44歳の男性が右側上唇の無痛性腫脹を主訴として当科を受診した。局所のリンパ節腫脹は認められなかった。腫瘍は初診時に約20×20mmの大きさであり, 病理組織学的には腺房細胞癌であった。
全身麻酔下に, 腫瘍を口腔内より根治的切除し, 分層植皮にて再建した。術後, 再発および転移は認めていない。
1955年から1991年までの, 日本での文献では54例の小唾液腺由来の腺房細胞癌が認められた。好発部位は口蓋 (19例) であった。次いで, 臼後三角部 (9例) , 口唇 (7例) , 頬粘膜 (7例) , その他 (12例) に発生していた。文献例による再発率は21.6%であった。

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