抄録
顎骨における線維生骨異形成症の14例の骨形成様式について, 臨床, X線ならびに組織学的に分析した。本症はX線像からスリガラス状 (7例) , 綿花状 (2例) , 混在状 (3例) と緻密状 (2例) の4型に分類した。スリガラス状は若年者にみられ, 線維骨の増生を主としていた。綿花状は30歳頃にみられた。線維骨の癒合改造や塊状化, 球状の無構造な石灰化物や層板骨が各所でみられた。混在状例は中年に主にみられ, 感染を伴っていた。X線上では綿花状と透過像の混在が特徴的であった。組織学的には, 線維骨や層板骨の緻密化が進み, 一部で炎症がみられた。緻密状例は中年の歯槽部を中心としてみられた。他の型と比べて, 層板骨や線維骨が非常に緻密であった。以上の所見から, 本症の臨床および組織像は幅が広いことが明らかとなり, スリガラス状から綿花状, 緻密状へと進行し, 感染を伴うと虫食い状となることが分かった。さらに, 層板骨への経年的成熟は十分に考えられる。