日本口腔腫瘍学会誌
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超高齢頭頸部癌患者の臨床的検討
―80歳以上の14症例について―
鶴巻 浩大橋 靖星名 秀行高木 律男中野 久
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1994 年 6 巻 1 号 p. 11-21

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抄録
1974年5月から1992年9月の18年5か月間に当科を受診した80歳以上の頭頸部癌14症例について臨床的に検討を行った。これらの内10例は最近5年間に受診したものであった。1例は異時性の口腔多発癌症例 (下顎歯肉と頬粘膜) であった。男性は9例, 女性は5例。発生部位は頬粘膜5例, 上顎歯肉3例, 下顎歯肉, 上顎洞, 舌が各2例, 顎下腺が1例であった。14癌 (13名) は組織学的に扁平上皮癌であり, 1名は腺癌であった。Stage Iは2例, Stage IIIは4例, Stage IIIは2例, Stage IVは7例であった。主たる治療として外科療法が行われたものは7名 (8癌) , 放射線療法が行われたものは6名であった。1名はアルコール中毒で化学療法のみが行われた。早期癌症例はすべて根治治療が可能であったが, 進展症例では根治治療を行うことは困難であった。但し, 準根治治療を受けた症例でも経過は良好であった。重篤な治療継発症はなかったが, 低蛋白血症, 貧血は高頻度にみられた。Kaplan-Meier法による1年, 3年, 5年累積生存率はそれぞれ68.6%, 54.9%, 36.6%であった。
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