抄録
Squamous odontogenic tumor様増殖 (SOTP) は1979年, Wrightにより報告され, Squamous odontogenic tumor (SOT) との病理組織学的な区別がつき難い病変である。
今回, われわれは42歳女性の下顎小臼歯部の歯根嚢胞にみられたSOTPを, 病理組織学的所見とともにその概要を報告した。
SOTが腫瘍性の性格を有するのに対し, SOTPは過形成的または過誤的病変であると考えられているが, 本病変のより詳細な性格を確定するうえで, 歯原性上皮の多分化能を考慮に入れた検索が必要であると思われた。
本症例は, 本邦におけるSOTPの最初の報告例である。