日本口腔腫瘍学会誌
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高度浸潤性口腔癌の治療に関する検討
―Stage I, II舌癌について―
野口 誠仲盛 健治関口 隆木戸 幸恵平塚 博義小浜 源郁
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1996 年 8 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

高度浸潤性口腔癌のうちstage I, II舌癌, 27例について各治療法別に検討した。治療法は, 切除生検 (療法A) , 術前化学療法後原発巣切除 (療法B) ならびに療法Bに選択的頸部郭清術を行ったもの (療法C) である。以下に各療法別の治療成績を示す。
1. 療法Aは8例に施行した。その内訳は T1+4C: 3例, T1+4D: 3例, T2+4C: 1例, T2+4D: 1例であった。原発巣再発はみられなかったが, 4例に後発頸部リンパ節転移がみられた。これらの症例の粗生存率は63% (Dc: 3例, Ao: 5例) であった。
2. 療法Bは9例に施行した。内訳は T1+4C: 3例, T1+4D: 3例, T2+4C: 1例, T2+4D: 2例であった。原発巣再発は1例にみられ, 7例に後発頸部リンパ節転移がみられた。これらの粗生存率は44% (Dc: 3例, Do: 2例, Ao: 4例) であった。
3. 療法Cは10例に施行した。内訳は T1+4C: 2例, T1+4D: 1例, T2+4C: 3例, T2+4D: 4例であった。潜在性転移は2例に確認された。原発巣再発は4例にみられ, このうち3例は頸部再発を伴っていた。頸部再発がみられた症例は3例であった。粗生存率は40% (Dc: 6例, Ao: 4例) であった。
4. 全症例の粗生存率ならびに5年累積生存率は各々, 48%, 52%であった。

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