日本口腔腫瘍学会誌
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8 巻 , 1 号
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  • 野口 誠, 仲盛 健治, 関口 隆, 木戸 幸恵, 平塚 博義, 小浜 源郁
    1996 年 8 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    高度浸潤性口腔癌のうちstage I, II舌癌, 27例について各治療法別に検討した。治療法は, 切除生検 (療法A) , 術前化学療法後原発巣切除 (療法B) ならびに療法Bに選択的頸部郭清術を行ったもの (療法C) である。以下に各療法別の治療成績を示す。
    1. 療法Aは8例に施行した。その内訳は T1+4C: 3例, T1+4D: 3例, T2+4C: 1例, T2+4D: 1例であった。原発巣再発はみられなかったが, 4例に後発頸部リンパ節転移がみられた。これらの症例の粗生存率は63% (Dc: 3例, Ao: 5例) であった。
    2. 療法Bは9例に施行した。内訳は T1+4C: 3例, T1+4D: 3例, T2+4C: 1例, T2+4D: 2例であった。原発巣再発は1例にみられ, 7例に後発頸部リンパ節転移がみられた。これらの粗生存率は44% (Dc: 3例, Do: 2例, Ao: 4例) であった。
    3. 療法Cは10例に施行した。内訳は T1+4C: 2例, T1+4D: 1例, T2+4C: 3例, T2+4D: 4例であった。潜在性転移は2例に確認された。原発巣再発は4例にみられ, このうち3例は頸部再発を伴っていた。頸部再発がみられた症例は3例であった。粗生存率は40% (Dc: 6例, Ao: 4例) であった。
    4. 全症例の粗生存率ならびに5年累積生存率は各々, 48%, 52%であった。
  • 和田 健, 畠 祥子, 森田 展雄, 大亦 哲司, 井辺 弘樹, 岡本 圭一郎, 松平 淳, 武用 由加, 神木 茂樹, 宮田 和幸, 坂本 ...
    1996 年 8 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    未治療の口腔, 上顎洞, 口峡咽頭原発の扁平上皮癌患者35名に対し, シスプラチンとその拮抗剤であるチオ硫酸ナトリウムを用いた2経路注入法とビンブラスチンとペプロマイシンの静脈内投与から成るネオアジュバント化学療法を施行し, その治療効果について検討した。
    化学療法の奏効率は91.4%で, CR率は57.1%であった。非担癌他病死例を除外すると, 累積5年生存率はCR群では100%であり, PR+NC群では87.5%であった。本化学療法は適正な支持療法を行うことにより, 短期間で遂行することが可能である。20名のCR患者の内12名に縮小手術が施されたが, 全ての患者が非担癌で良好な口腟機能を保持している。
    これらのデータは, この化学療法のレジメンが頭頸部癌の治療により効果的であることを示している。この結果はまだ予備的なものであり, さらに症例を加えて検討する必要がある。
  • 大亦 哲司, 森田 展雄, 和田 健, 宮田 和幸, 武用 由加, 畠 祥子, 坂本 忠幸
    1996 年 8 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    対象は, 1975年から1994年までの20年間に当科を受診し, エナメル上皮腫で治療を行った40例 (男19例, 女21例) ,
    1) 発生年齢のピークは30, 40歳代で平均年齢36.7±19.8歳であった。
    2) 発生部位は上顎5例, 下顎35例で下顎が87.5%を占めた。
    3) X線所見では, X線単房性を呈する症例が18例, X線多房性が12例, X線蜂窩状が8例と, 単房性が多くみられた。
    4) 病理組織分類では, 26例のfollicular pattern症例のうち, 6例に細胞亜型 (acanthomatous type4例, granular cell type1例, desmoplastic ameloblastoma1例) がみられた。14例のplexiform pattern症例のうち, 1例にacanthomatous typeの細胞亜型がみられた。
    5) 治療方法の内訳は, 「開窓療法」2例, 「腫瘍摘出・創面開放」16例, 「腫瘍摘出」10例, 「根治的切除」12例 (上顎部分切除1例, 下顎辺縁切除2例, 下顎離断9例) 。
    6) 再発は5例に認められたが, 切除群には再発はみられなかった。
    7) Unicystic ameloblastoma (以下UA) は, 8/40例 (20.0%) にみられた。UA以外の症例の平均年齢41.1±18.4歳に比べ, 19.0±8.5歳と若かった (p<0.01) 。再発はみられなかった。
  • 中嶋 正博, 森田 章介, 堀井 活子, 有家 巧, 角熊 雅彦, 福武 洋二, 仁木 寛, 井上 雅裕, 小川 文也, 松本 晃一, 飯田 ...
    1996 年 8 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1978年から1992年までの15年間に大阪歯科大学附属病院第2口腔外科で治療を行った下顎歯肉扁平上皮癌80症例を対象に予後因子として組織悪性度, 腫瘍の大きさ, X線学的骨破壊様式, リンパ節転移の有無について検討を行った。対象症例のTNM分類 (UICC, 1987年) はT1: 5例, T2: 46例, T3: 14例, T4: 15例, NO: 32例, N1: 41例, N2c: 5例, N3: 2例で, 全例MOであった。結果をまとめると次のごとくである。
    1.5年累積生存率はT1: 100%, T2: 80%, T3: 76%, T4: 67%で, 全症例では78%であった。
    2.T1, T2では組織学的に悪性度が低い傾向が認められた。
    3.T1, T2では骨破壊のないものあるいは圧迫型のものが多く, T4は2/3が虫喰型を示した。
    4.組織学的に高悪性群ではリンパ節転移陽性を示すものが多かった。
    5.原病死は1例の肺転移死を除き, 残りは全て原発巣非制御症例であった。
  • 大月 佳代子, 大西 正俊, 辻 政秀, 渡井 幸雄
    1996 年 8 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシアパタイト多孔体ブロック (以下, アパタイトと略) による下顎エナメル上皮腫切除後の再建症例について報告する。アパタイトの適応目的を, 我々は構造支持と形態補填とに大別し臨床適用してきたが, 何れの場合にも本材が残存下顎骨からの骨伝導により新生骨との複合体となり一体化すること, すなわち本材が骨形成の場として適用されることを目標としている。そして下顎骨再建へのアパタイトの補填様式は, 便宜上, 1) 部分切除後の骨内補填, 2) 区域切除後の架橋補填, 3) 半側切除後の遊離端補填に分けて適用した。このうち, 前記の2) 及び3) に際しては, アパタイトの物性が単体で周囲下顎骨と強固に固定することは, 不十分である。そのため補填装置として本材を把持固定し, ネジ止め時に残存下顎骨断端と圧迫接合する機能を合わせもつ構造のアパタイト用下顎骨再建チタンプレートを新たに開発して用いた。エナメル上皮腫切除後の再建については, 腫瘍切除後, アパタイトの補填により二次的に行った。
    報告症例は, 1983年12月より1994年12月までの問, 当科においてアパタイトを用いた下顎骨再建が行われた5症例である。その内訳は, 構造支持的適用4例 (架橋補填3例, 骨内補填1例) , 形態補填的適用1例の計5例で, 前者の構造支持では, 新たに開発したアパタイト用下顎骨再建チタンプレートを併用したものが2例であった。
    術後経過は, 全症例良好である。
  • 佐藤 明, 中島 純一, 鄭 漢忠, 野谷 健一, 福田 博, 船岡 孝誠, 飯塚 正, 向後 隆男, 雨宮 璋
    1996 年 8 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    下顎骨エナメル上皮腫24例の臨床・組織所見および治療法と予後の関連について検討した。
    24例のX線像は単胞型12例, 多胞型9例および蜂巣状3例で, 前方部症例 (前歯一小臼歯部) 9例中6例が多胞型または蜂巣状であるのに対して, 後方部症例 (大臼歯―下顎枝部) 15例では9例が単胞型であった。一方, 埋伏粛を伴う比率は後方部症例 (10/15) の方が前方部症例 (2/9) に比べて高かった。WHO分類による組織型はfollicular type6例, plexiform type16例, acanthomatous type1例で, 後方部症例は大部分がplexiform typeであった。
    治療法は2例に下顎骨辺縁切除術が行われ, これらは再発もなく経過良好であった。摘出掻爬術は21例に施行され, 4例に再発がみられた。再発率は多胞型または蜂巣状X線像を示すもの (3/12) およびfollicular type (3/6) の方が単胞型 (1/12) やplexiform type (1/16) に比べて高かった。
    免疫染色が可能であった12例のPCNA陽性率は3.3~42.1%に分布し, その平均値は22.3%であったが, 陽性率と再発の有無に関連はみられなかった。
  • 中野 敏昭, 平塚 博義, 平田 健一郎, 久保田 裕美, 仲盛 健治, 野口 誠, 小浜 源郁
    1996 年 8 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腟扁平上皮癌一次症例45例を対象に超音波断層画像所見と頸部リンパ節転移の有無との関連性についてretrospectiveに検討を行った。超音波断層撮影で描出された105個のリンパ節のうち, 組織学的に転移が確認されたリンパ節は26個 (24.8%) であった。超音波断層法はメカニカルセクタ走査で, 7.5MHzの探触子を使用し, リンパ節の長径, 短径, 短長径比, 内部エコー, 辺縁性状の5項目について評価した。これら5項目の超音波断層所見はx2検定, t検定により推計学的に有意にリンパ節転移の有無との問に関連性を示した。数量化理論第II類による検索では, 寄与率が最も高い項目は短径であり, 以下, 内部エコー, 辺縁性状, 長径, 短長径比の順であった。また, その判別的中率は89.5%であった。
    以上の結果より, 超音波断層法による各所見を総合的に評価することにより口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移の診断精度が向上することが示唆された。
  • 中村 友保, 木下 基司, 片浦 俊久
    1996 年 8 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    UFT内服治療を行い著効を得た口腟癌の2症例を経験したので報告した。症例1は71歳女性, 舌癌 (T2N0M0) の根治手術後4年7か月で口底部切除縁付近に再発を来し, 根治的な2次治療を拒否されたためUFT 600mg/dayの内服投与を行った。2週問目より腫瘍は縮小傾向を示し, 4週問目には臨床的に腫瘍は消失し, 病理組織学的にもCRと判定した。症例2は83歳男性, 下顎歯肉癌 (T1N0M0) で喘息による心不全を合併しているため, 患者のQOLを考えUFT 600mg/dayとubenimx (ベスタチン) 30mg/dayを併用した内服治療を行った。3か月目頃より腫瘍は縮小傾向を示し, 6か月目には臨床的に腫瘍は消失, 病理組織学的にもCRと判定した。2症例とも現在まで1年6か月および8か月以上, 再発傾向は認められず経過観察中である。
  • 佐藤 泰則, 埜口 五十雄, 安藤 俊史, 黒川 英人, 高橋 雅幸, 日向 治正, 柴田 俊一
    1996 年 8 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    腺様歯原性腫瘍の発現頻度はかなりまれとされてきたが, 近年その症例報告数は徐々に増加している。しかしながら種々な点がいまだに明らかにされていない。今回わたくしたちが経験した症例は23歳の女性で, X線学的には下顎前歯部に埋伏歯を含む嚢胞様像を認め臨床的には濾胞性歯嚢胞を疑ったが, 摘出術を行ったところ病理組織学的には腺様歯原性腫瘍であった。多数の小嚢胞を形成し円柱上皮からなる腺腔状構造を認め, エオジン好性物質や石灰化物がみられた。
    今回わたくしたちが渉猟し得た腺様歯原性腫瘍の本邦報告例は152例であり, そのうち下顎症例は66例であった。66例について臨床統計的観察を行った。66例のうち51例が女性であり, 年齢別では10歳代が33例で最も多かった。部位では下顎前歯部より臼歯部におよぶものが多く, 術前臨床診断では濾胞性歯嚢胞が多かった。X線学的には半数以上の36例に石灰化物が認められた。
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