日本口腔腫瘍学会誌
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唾液腺癌における補助免疫化学療法施行例の臨床的検討
―10年以上の経過観察例について―
野谷 健一小野 貢伸守屋 信吾足利 雄一原田 祥二牧野 修治郎有末 眞戸塚 靖則福田 博
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1996 年 8 巻 3 号 p. 161-167

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抄録
対象は唾液腺癌症例で, 手術単独あるいは放射線との併用により治療を行い, その後に補助免疫化学療法を施行し, 最低10年間の経過観察を行いえた24症例である。症例では, 大唾液腺原発, 腺様嚢胞癌, stage II, IVが多かった。補助免疫化学療法は5-FU系薬剤とOK-432とを併用し, 局所治療終了後2年間行った。これらについて, 生存率と, 原発部再発, 頸部リンパ節転移ならびに遠隔転移の頻度と初回治療後からの平均発現時期を検索した。
全例の原発部再発率, 頸部リンパ節転移率, 遠隔転移率はそれぞれ20.8%, 16.7%, 33.3%であり, これらの平均出現率は4年9か月, 1年7か, 月, 4年7か月であった。所属リンパ節と原発部が制御された症例に限定して遠隔転移をみると, その頻度は23.8%, 平均出現時期は5年8か月であった。
カプランマイヤー法による全例の5年, 10年生存率は83.3%, 70.8%であり, 所属リンパ節と原発部が制御された症例では, それぞれ90.5%, 81.0%であった。
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