抄録
目的:口腔カンジダ症は唾液分泌減少などのヒト宿主抵抗性の変化に伴って発症する.紅斑性カンジダ症はドライマウス患者でしばしば発症するにもかかわらず,典型的な偽膜性カンジダ症と異なり,診断が難しい.この研究の目的は,口腔粘膜においてCandida CFUと紅斑性病変の発症との関係を調べることであり,ドライマウス患者で紅斑性カンジダ症の危険性を回避するために,カットオフポイントを設定することである.
対象と方法:Candida CFUのカットオフポイントを設定するために,678名のドライマウス患者の口腔自覚症状と他覚所見における因子分析から集約された主要構成因子において受信者動作特性(ROC)解析を行った.Candida CFUを計測するために,舌背の表面をスワブし直接CHROMagar Candida培地に接種した.
結果:ドライマウス患者における紅斑性病変発症のカットオフポイントは,感度・特異度がそれぞれ69%と62%においてCandida 9CFUが同定された.
結論:カットオフポイントの確立は紅斑性カンジダ症のリスクを回避するためのドライマウス患者に対する日常口腔ケアに有用となるであろう.