2010 年 29 巻 2 号 p. 77-82
【背景】口腔乾燥の診断には安静時の乾燥感に関連する小唾液腺分泌機能の検査法が不可欠だが確立されたものがなく,病態の検討は困難である.Murataらはヨウ素デンプン反応を応用した検査法について報告しているが,試験紙の乾燥に長時間を要する.
【目的】ヨウ素デンプン反応を応用した小唾液腺分泌量検査紙を改良し有用性を示すことである.
【材料と方法】試験紙は濾紙(定性濾紙No.1,東洋ろ紙製)を使用し,3%ヨード溶液と25%デンプン溶液(エタノールとの混合攪拌液)を浸透,乾燥させた.定性試験,定量試験を行った.人工唾液の定量を試験紙に滴下し変色部をスキャナーで読み込みその面積を画像解析装置で測定し量との関連について検討した.
【結果】従来法では72時間以上を要した試験紙の制作時間は1時間以内に短縮された.定性試験,定量試験ともにMurataらの報告とほぼ同様だった.
【結語】改良した小唾液腺分泌機能試験紙の有用性が示唆された.