歯科薬物療法
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29 巻, 2 号
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原著
  • 加藤 尚子, 原田 京子, 大東 希好, 竹安 正治, 大東 道治
    2010 年 29 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2010/09/11
    ジャーナル フリー
    歯髄炎などの炎症組織では,結合組織破壊が進行し炎症が増悪する.この結合組織破壊にはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)が関与していることが多く報告されている.さらに歯髄炎ではinterleukin(IL)-1βやtumor necrosis factor(TNF)-αなどの炎症性サイトカインが多く産生され,マクロファージや好中球などの炎症性細胞に影響を与える.そこで本研究では,ヒト乳歯歯髄由来線維芽細胞を用いて,TNF-α刺激による線維芽細胞増殖能,およびMMP-2産生能,さらにその経路についても検討を行った.TNF-αはいずれの濃度においても乳歯歯髄由来線維芽細胞増殖能に影響を与えなかった.また,MMP-2産生はTNF-α濃度依存的に増強が認められた.TNF-α刺激によるMMP-2産生は,MEK1/2阻害剤U0126添加により抑制され,TNF-α刺激により活性化されたERK1/2のリン酸化は,U0126により抑制された.
    以上の結果より,TNF-αが乳歯歯髄由来線維芽細胞のMMP-2産生能に影響を与えることが明らかとなった.さらにTNF-αによるMMP-2産生がERK1/2を介してされることが示唆された.
  • 関谷 亮, 唐木田 一成, 新井 俊弘, 佐藤 佑介, 坂本 由紀, 金井 直樹, 丸山 亮, 金子 明寛
    2010 年 29 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2010/09/11
    ジャーナル フリー
    口腔感染症患者より分離した各種細菌およびCandida属菌株のbiofilm形成能をクリスタルバイオレット染色法で評価した結果,Prevotella intermediaPorphyromonas gingivalisActinomyces odontolyticusStreptococcus mitisCandida albicansおよびCandida glabrataにおいてbiofilm形成能の高い菌株が見出された.
    これらの菌株を対象に各種抗菌薬または抗真菌薬のsub-MICにおけるbiofilm形成抑制作用を検討した.P. intermediaおよびP. gingivalisに対してlinezolid,azithromycinおよびclarithromycinのsub-MICでの作用によりbiofilm形成抑制効果が認められたが,検討した他の菌種のbiofilm形成に対する抑制効果は認められなかった.一方,C. albicansおよびC. glabrataに対しては,測定した抗真菌薬のうちmicafunginのみがsub-MICにおけるbiofilm形成抑制作用を示した.
  • 上川 善昭, 新田 哲也, 永山 知宏, 川崎 清嗣, 藤崎 順一, 平林 大典, 浜田 倫史, 坂元 亮一, 向井 洋, 佐藤 友昭, 杉 ...
    2010 年 29 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2010/08/01
    公開日: 2010/09/11
    ジャーナル フリー
    【背景】口腔乾燥の診断には安静時の乾燥感に関連する小唾液腺分泌機能の検査法が不可欠だが確立されたものがなく,病態の検討は困難である.Murataらはヨウ素デンプン反応を応用した検査法について報告しているが,試験紙の乾燥に長時間を要する.
    【目的】ヨウ素デンプン反応を応用した小唾液腺分泌量検査紙を改良し有用性を示すことである.
    【材料と方法】試験紙は濾紙(定性濾紙No.1,東洋ろ紙製)を使用し,3%ヨード溶液と25%デンプン溶液(エタノールとの混合攪拌液)を浸透,乾燥させた.定性試験,定量試験を行った.人工唾液の定量を試験紙に滴下し変色部をスキャナーで読み込みその面積を画像解析装置で測定し量との関連について検討した.
    【結果】従来法では72時間以上を要した試験紙の制作時間は1時間以内に短縮された.定性試験,定量試験ともにMurataらの報告とほぼ同様だった.
    【結語】改良した小唾液腺分泌機能試験紙の有用性が示唆された.
臨床報告
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