歯科薬物療法
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原著
口腔カンジダと義歯の関連に関する研究
川崎 清嗣上川 善昭浜田 倫史平林 大介藤崎 順一永山 知宏坂元 亮一新田 哲也向井 洋杉原 一正
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2010 年 30 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

【目的】義歯装着と口腔カンジダの関連について検索することである.
【方法】対象は2007年2月から2008年8月までの18か月間にかわさき歯科口腔外科医院を受診し,口腔カンジダ症の所見のない患者の内,本研究に同意した417名である.方法は,全対象者から舌背ぬぐい液を,義歯装着者の76名(143床)の義歯床下粘膜ぬぐい液を,義歯の提供を受けた25名の42床から超音波洗浄後廃液を,クロムアガーカンジダ寒天培地上に播種,培養しC. albicansC. glabrataC. tropicalisC. parapsilosisC. kruseiを検出,同定した.年齢,性別,義歯装着状況などを検索した.
【結果】舌背ぬぐい液培養では女性,高齢者および義歯使用者から,義歯床下粘膜ぬぐい液培養では下顎より上顎からの検出率が高く,義歯洗浄後廃液からの検出率は舌背や義歯床下粘膜ぬぐい液からより高く,統計学的に有意であった.義歯洗浄液の培養においてはC. glabrataなどnon-albicans Candida種の検出率が高かった.
【結論】義歯装着と口腔カンジダの関連が示唆され,義歯床洗浄液からはC. glabrataなどnon-albicans Candida種の検出率が高く優勢であった.

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© 2010 日本歯科薬物療法学会
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