抄録
臨床分離緑膿菌 (P.aeruginosa) 4株に対するsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) およびceftazidim (CAZ) の2剤のセフェム系抗菌薬とfosfomycin (FOM) との併用効果をin vitroおよびin vivoにおいて検討した.
4株に対しての3剤のMICおよび4株のβ-lactamase産生能の有無を検討した.
また併用効果を検討するためにチェッカーボード法によりFIC (Fractional inhibitory concentration) indexを算出した.
次に各菌株のマウスに対する最小致死量MLD (minimal lethal dose) を求め, その2倍量を1群6匹のマウスに腹腔内接種し, 2時間後に各抗菌薬を単独で投与し, 50%生存量 (ED50) を求めた.
その各薬剤のED50を基準にFOM: SBT/CPZとFOM: CAZの濃度を1: 1, 1/2: 1/2, 1/4: 1/4, 1/8: 1/8, 1/2: 1/4, 1/2: 1/8, 1/2: 1/16ED50量を投与し, それぞれ15時間, 24時間, 48時間, 1週間のマウスの生存数を観察し, 併用時のED50を検討した.
全ての菌株はβ-lactamase産生能を有し, 各菌株の3剤に対するMICは, それぞれSBTICPZは12.5~25μg/ml, CAZは15.6~3.13μg/ml, FOMは50~200μg/mlであり, CAZの感受性が一番優れていた.SBT/CPZ+FOMとCAZ+FOMのFIC indexの比較ではSBT/CPZ+FOMでは0.375が3株, 0.75が1株, CAZ+FOMでは0.375が1株, 0.5が2株, 0.75が1株であった.
FIC indexで評価するとSBT/CPZの方が相乗効果が強かった.
またマウスにおけるED50の検討においては単剤のED50はCAZの方がSBT/CPZより優れていたが, FOMとの併用ではSBT/CPZはCAZとの差が縮まり, 同等以上の併用効果が得られた.