歯科薬物療法
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プロポリスおよびプロポリス含有歯磨剤のin vitroにおけるプラーク形成におよぼす影響
佐藤 勝藤原 周永山 元彦山口 良三徳田 周子竹内 宏山田 英生杉本 広之沖原 清司
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2001 年 20 巻 1 号 p. 5-10

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抄録
ブラジルで採取したプロポリス標品をエタノール抽出し, そのエタノール溶液の唾液被覆ヒドロキシアパタイトへのStreptococcus sanguisの吸着およびS.sanguisFusubacterium nucleatum間の共凝集反応におよぼす影響を検討した.また同じプロポリス標品を含有する歯磨剤の齲蝕原因細菌および歯垢形成性細菌に対する抗菌活性を検討し以下の結論を得た.プロポリスのエタノール溶液 (10および20mg/mL) はS. sanguisのヒドロキシアパタイトへの吸着をともに有意差 (p<0.05) をもって減少させた.共凝集反応もまた有意に抑制された.抑制率は10mg/mLの場合42.9% (p<0.01) で, 20mg/mLの場合56.2% (p<0.01) であった.またプロポリス含有歯磨剤はStreptococcus, ActinomycesおよびLactobacillusを含む20株の発育を3-7mg/mLの範囲で阻止した.これらの結果から今回供試したプロポリス標品はプラークの形成や発達を阻害する能力を有することが示された.認められた阻害作用に働く成分の特定は今後の必須課題であるが, プロポリスあるいはプロポリス含有歯磨剤をプラーク形成の抑制に使用しうる可能性が示された.
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