2020 年 49 巻 3 号 p. 114-118
症例は53歳,女性.検診で心拡大を指摘されCTを施行したところ左房下方に10 cmの冠動脈瘤と冠動静脈瘻を認めた.手術は心停止下で,瘤切除,瘤内への右冠動脈流入血管を結紮した.瘤内から右房への流出血管を認めたが,冠静脈洞は瘢痕化しており,結紮や単純閉鎖した場合に冠静脈の還流不全を来す恐れがあると判断した.流出血管は自己心膜パッチにて閉鎖し,冠静脈への血流を確保した.本症例のように右房へ還流するようパッチ閉鎖を行う再建術式は今までに報告例がなく,良好な結果を得たので報告する.