日本小児アレルギー学会誌
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原著
小児アレルギー疾患におけるアレルゲン感作の全国調査
西間 三馨崎山 幸雄森川 みき角田 和彦吉原 重美森川 昭廣河野 陽一西牟田 敏之十字 文子相原 雄幸縣 裕篤伊藤 浩明宇理須 厚雄近藤 直実眞弓 光文平家 俊男伊藤 節子末廣 豊有田 昌彦古川 漸濱崎 雄平
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2006 年 20 巻 1 号 p. 109-118

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抄録
目的 : 小児アレルギー疾患における感作アレルゲンを検討する.
方法 : 全国21施設で気管支喘息, アトピー性皮膚炎と診断された小児589例を対象として, 35アレルゲンに対する特異IgE抗体を測定した.
結果 : 0-1歳群 (n=105) では, 卵, ミルクなどの食物アレルゲンに対する特異IgE抗体保有率が高く, とくにピーナッツが小麦よりも高率であった. 吸入性アレルゲンでは, チリダニ, イヌ皮屑に次いでゴキブリの保有率が高かった. 年齢に伴って吸入性アレルゲンの保有率が上昇した. 一方, 卵, ミルク, 魚類および肉類は年齢に伴い保有率が減少したが, 穀類, 豆類および甲殻類は年齢による差を認めなかった. アトピー性皮膚炎の合併, その重症度に伴い各特異IgE抗体保有率は高くなった. 気管支喘息の重症度と抗体保有率には関連を認めなかった.
考察 : 既報と比較して乳児においてピーナッツ, ゴキブリに対する特異IgE抗体保有率が高く, 今後検討すべきアレルゲンと考えられた. 小児アレルギー疾患において, 年齢, 症状, および重症度を考慮して測定する特異IgE抗体のアレルゲンを選択すべきと考えられた.
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© 2006 日本小児アレルギー学会
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