日本小児アレルギー学会誌
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原著
小児気管支喘息治療におけるステロイド吸入用懸濁液の適正使用
西間 三馨森川 昭廣西牟田 敏之
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ジャーナル 認証あり

2006 年 20 巻 3 号 p. 218-230

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抄録
小児気管支喘息の有症率の増加および発症年齢の低下が問題視されるなか, 世界的にも小児気管支喘息の薬物療法やその予後に関する様々な知見が得られ, それらのエビデンスを基に, 2005年の本邦の小児気管支喘息治療・管理ガイドラインでは, 乳幼児に対しても早期から吸入ステロイド療法を推奨する形に改訂された. しかし本邦では, 乳幼児 (特に乳児) が簡便に使用できる剤型の吸入ステロイド薬が販売されていなかったため, 十分な治療を受けることが出来ない患児が存在し, その結果, 乳幼児での喘息死亡数や, 発作入院件数は改善されない状況であった.
こうした背景のなか, 本邦で初めての乳幼児対象のネブライザー専用吸入ステロイド薬として, ブデソニド吸入用懸濁液の発売が予定されている. これによりガイドラインに沿った吸入ステロイド療法が容易になると期待されるが, 特に乳幼児への使用に対しては, リスクとベネフィットのバランスを考慮した適正使用を心がけねばならない. 本稿では, 本剤の国内および米国での臨床試験成績からの有効性と安全性, ネブライザー使用に関する情報を概説する.
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© 2006 日本小児アレルギー学会
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