2007 年 21 巻 5 号 p. 657-668
[目的]MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)ポリマー加工をした生体適合性を持つ肌着と汗処理・透湿性・吸湿性に優れるペバックス® 繊維肌着が小児アトピー性皮膚炎(AD)の症状・生理指標に及ぼす影響について検討した.
[方法]53名の小児 AD 患者を MPC 群(19名),ペバックス® 群(17名),レギュラー群(17名)に割り付けた4週間の二重マスク化ランダム化比較試験を行い,AD の重症度(SCORAD),角質水分量・水分蒸散量,成長ホルモン,コルチゾール,s-IgA の測定を行った.
[結果]AD 重症度は,ペバックス® 群(p=0.008)・レギュラー群(p=0.003)で統計学的に有意な改善がみられ,MPC 群でも改善の傾向がみられた.さらに,成長ホルモンは MPC 群でレギュラー群と比較して有意な増加が認められた(p=0.009).角質水分量はペバックス® 群で着用前後に有意な増加が認められた(p=0.020).
[考察]綿だけではなく MPC 加工・ペバックス® 繊維肌着の小児 AD に対する長期着用の安全性が得られたと考えられた.また,肌着の繊維の違いが生理指標に影響を与える可能性が示唆された.