日本小児アレルギー学会誌
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原著
入院治療を必要とした重症アトピー性皮膚炎患者の退院後経過に影響を与える因子について:ステロイド外用剤に対する意識を探る
平口 雪子長尾 みづほ熱田 純井口 光正藤澤 隆夫
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2007 年 21 巻 5 号 p. 697-704

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抄録
目的:アトピー性皮膚炎はガイドラインの治療によりコントロールは困難ではないが,ステロイド外用剤忌避をあおるマスコミやアトピービジネスの宣伝に影響されることにより,症状が悪化することは少なくない.そこで,アトピー性皮膚炎患者のステロイド外用剤を中心とする治療に対する意識と臨床経過との関連を明らかにするため,入院を要した重症例に対してアンケート調査を行い,退院後経過との関連を解析した.
方法:対象は入院を要した重症アトピー性皮膚炎で退院後1年までの経過観察を行った患者84名である.入院時から1年後までの重症度と主治医が記載した悪化因子をカルテから調査するとともに,1年後にステロイド外用剤に対する意識と治療態度を尋ねるアンケートを実施した.
結果:入院治療によりほぼ全例が退院後軽症となったが,1ヵ月ほどで中等症程度まで悪化する例が増加,1年後には再び軽快した.臨床経過は低年齢群より学童期以上で不良の傾向があった.主治医のあげる悪化因子にステロイド外用剤治療の不足があったが,アンケートでは80%以上にステロイド外用剤に対する漠然とした不安を感じている例がみられ,メディアの誤った情報に影響を受けていることが明らかとなった.また,主治医の指示よりも少なめに外用すると答えた例で有意に退院後の経過が不良であった.
結論:入院中に時間をかけて標準的治療についての説明を行ったにも関わらず,誤った情報に影響されて治療が不十分になる傾向が明らかとなった.今後,正しい情報の啓発にさらに尽力すべきである.
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© 2007 日本小児アレルギー学会
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