2007 年 21 巻 5 号 p. 729-738
国立病院機構の傘下148施設において2004年に小児気管支喘息の急性発作で入院した患者のβ2刺激薬吸入療法以外の使用薬剤の実態を調査した.77施設(52%)より回答があり全調査症例数は4152例で,アミノフィリン単独に加えてステロイドとの両者併用を合わせるとアミノフィリンの使用率は3440名(82.9%)に上った.さらに詳細な解析を年齢別・地域別・専門医の有無別に行ったところ,以下の点が明らかになった.1)年齢別解析では0歳台の乳児に対しても65.3%の症例でアミノフィリンが使用されていた.2)地域別のアミノフィリンの使用状況は東海北陸・近畿・中国四国でアミノフィリンの使用率が70%未満であったのに対して北海道・東北・関東甲信越・九州では90%を越えており地域差を認めた.3)専門医の有無で分類すると専門医施設において大発作が入院例全体の31.3%であったのに対して非専門医施設では16.1%にとどまり,専門医施設ではアミノフィリンの使用率が89.5%あったが非専門医施設では73.9%であった.今回の大規模調査で我が国の小児気管支喘息発作入院時のβ2刺激薬吸入療法以外の薬剤の使用状況が初めて明らかになった.