日本小児アレルギー学会誌
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原著
喀痰細胞診を用いてモニタリングを行った気管支喘息児の1例
染谷 研一高増 哲也栗原 和幸
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2008 年 22 巻 2 号 p. 275-280

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抄録
【目的】喀痰細胞診が,気管支喘息児の気道炎症の経時的な変化をモニタリングする方法となりうるかを検討するため,同一患者でくりかえし喀痰を採取し,病状との関連を検討した.
【方法】4歳女児.重症持続型で,1年間に喘息発作で10回,肺炎で2回,入院している.発作時には自発痰,非発作時は誘発喀痰を採取・処理し,細胞診の比率を検討した.
【結果】喀痰好酸球が50%から60%に増加していたときは,その4,5日後に発作で入院となった.発作入院時,全身性にステロイドを投与すると,好酸球は順調に減少した.肺炎合併急性期には好中球が90%を占め,好酸球はほぼ消失した.外来通院時,好酸球はたいてい10%以上みられていたが,夏休み,母の実家に帰省した1か月間は症状が安定し,全身性ステロイドを使用しなくても好酸球は4%に減少した.
【結語】同一患児でくりかえし喀痰細胞診を行うことで,患者の気道炎症の経時的な変化をとらえることが可能であると考えた.
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© 2008 日本小児アレルギー学会
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