日本小児アレルギー学会誌
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原著
小児の喘息診療における電子日誌および電子ピークフローメーターの使用の可能性および利便性の検討
勝沼 俊雄梅野 英輔
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2008 年 22 巻 2 号 p. 281-290

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抄録
喘息患者の症状管理は,自身の病状を客観的に把握する必要があり,その手段として喘息日誌やピークフロー測定が指導される.しかし実際には,喘息日誌の記入漏れ,まとめ書きやピークフロー測定時間のバラツキがあるため,その信頼性は高いと言えない.近年,臨床試験におけるデータ信頼性を高める目的で,欧米では,電子媒体の日誌・ピークフローメーターが採用され始めた.今回我々は,本邦での小児の臨床試験・研究において,電子日誌および電子ピークフローメーター採用の可能性を検討する目的で,5~15歳の小児気管支喘息患者を対象に,電子日誌への入力および電子ピークフローメーター測定が実施可能かどうかを検討した.結果として,起床時・就寝前の電子日誌入力へのコンプライアンスは94.0%以上と良好であった.アンケート調査からは,トレーニング・サポート体制やシステム的な要改良点も抽出されたが,利便性の高さが示された.小児喘息の臨床試験・臨床研究における電子日誌や電子ピークフローメーター使用の有用性が示唆された.
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© 2008 日本小児アレルギー学会
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